「It Doesn’t Have to Be Crazy at Work」を読んだのでメモと感想
「Remote」(強いチームはオフィスを捨てる)、「Rework」(小さなチーム大きな仕事)に続いてBasecamp創業者の二人が昨年出した書籍「It Doesn’t Have to Be Crazy at Work」を読みました。
It Doesn't Have to Be Crazy at Work (English Edition)
- 作者: Jason Fried,David Heinemeier Hansson
- 出版社/メーカー: HarperBusiness
- 発売日: 2018/10/02
- メディア: Kindle版
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久々に英語の書籍を通して読んだので読み終わるのに時間がかかってしまいました。英語自体は簡単で比較的読みやすかったです。
ざっくりどんな本か
スタートアップで大きな目標を目指してハードワークをして成功をつかむ、という近年のIT企業界隈の常識に疑問を投げかけている書籍です。
Basecampでは週40時間、夏は32時間の労働時間で3年に一度1ヶ月の休暇を取れる。そして十分に利益を出し、会社は成長できている。
そんな中で更にマーケットシェアを増やそうだとか世界を変えようだとかを目指して(経営者も社員も)人生をすり減らす必要はないでしょ、と主張しています。
この本では、短時間で最大限の成果を出しながら、そして快適に働ける環境を作るためにBasecampが試行錯誤してきた内容が紹介されています。常識と思われている内容と反対であるものもあって色々発見がありました。
経営側の目線で書かれた本なので社内制度まで踏み込めるような人でないとこの本の内容を実践するのは難しいですが、こういう環境で成果が出るんだみたいなものを知るという意味では一社員としてであっても読む価値が十分にある本だと思います。
メモ
Kindleのハイライトした部分を読み返しつつメモ。
- 会社自体をプロダクト(ソフトウェア)のように捉える
- バグがあったら直そうね、とか、ユーザー(社員)が理解できるものになってるか、使いやすいものか、とか、常にバージョンアップしてこうね、とか
- 集中できる環境を作る
- Basecampではコミュニケーションはリアルタイムではなく非同期でEventual Responseがあれば良いという文化
- 集中して仕事をするためにチャットやメールを開いておくことはしない
- カレンダーも共有しない
- ミーティング開催のハードルを意図的に上げている
- オフィスは用意している
- 家で仕事が捗るかというと皆が皆そうではない
- ただし、「図書館」のように利用するというルール
- 話しかけたり騒音を作ったりで邪魔しない
- コミュニケーションの不足については各人が「オフィスアワー」を用意
- その時間は質問でもなんでもウェルカム
- 毎日xx時だったり毎週xx曜のxx時だったり人それぞれ
- 誰がどんな仕事をしているとか必要以上に共有しない
- FOMO(The fear of missing out)ではなくJOMO(The joy of missing out)
- 月1でチームのリードが"Heartbeat"として進捗などを共有する
- Basecampではコミュニケーションはリアルタイムではなく非同期でEventual Responseがあれば良いという文化
- 会社のカルチャー
- 良い会社は「家族」ではなく、家族をサポートする「味方」
- (「アットホームな会社です」は、やはりブラックな会社なんだなと
- ワーカホリックは伝染病
- 止められないし周りに移る
- 個人間の"Trust Buttery"を見て不和や衝突がないようにしている
- 不満とかは待ってても上がってこないので聞く。それも具体的に
- ☓「この会社の改善点を教えて」
- ◯「だれも話したがらないことってある?」「働く上で心配なことは?」「最近これができたら良かったのにと思ったことあった?」
- 会社を売るつもりは無いのでストックオプションは出してないが、売ったらその金額の5%を社員に割り振るということにはしている
- vacationは"facation"にならないように会社のアカウントから全てログアウト
- 良い会社は「家族」ではなく、家族をサポートする「味方」
- 仕事の仕方
- プレゼンをするのではなく資料を共有する
- ReactionではなくConsidered Feedbackが欲しい
- 金曜リリースをやめて月曜リリースにした
- 土日のバグ修正がなくなり環境が改善。品質を上げる意識もできた
- 合意形成をするのではなくコミットする
- "I disagree, but let's commit."
- 業界のベストプラクティスが自分の会社・仕事に当てはまると考えない
- 3人チームがベスト(開発者2人、デザイナー1人)
- 4人になるとmanageするための5人目が必要になることが多い
- "No is easier to do, Yes is easier to say."
- Noと言うことで無駄な仕事を増やさないようにする
- プレゼンをするのではなく資料を共有する
- ビジネス
- 将来的な改善は約束しない
- 「今年中に」のコミットがチームを苦しめた
- Basecampはpay per userモデルではなくユーザー数にかかわらず同額
- 大きい会社の意向に自分たちのビジネスが左右されたくない
- バージョンアップでユーザーに移行させない
- Basecampは1〜3までのバージョンをメンテナンスしている
- 将来的な改善は約束しない
感想
Basecampはもう既に十分稼いでるからこんなことできるんだろ、みたいなことも言えるといえば言えるんですが、チーム作り、会社作りに参考になるのではないかという部分が非常に多くありました。
特に、集中できる時間を増やすためのコミュニケーションのとり方はチーム単位でも実践できるんじゃないかなと思います。チャット・メールで即時性を求めない、オフィスを図書館のように考える、無駄な情報共有の会議などで時間を取らない、オフィスアワーを作る、などなど。
とはいえこういう変革は自分だけが主張してもなかなかわかってもらえないので、他の人にも読んでもらって共通言語ができた上でどうしようかみたいな話ができると良いので、ぜひ日本語版も出版してほしいなと思います。